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​立葵

 

劇団の予告ポスター夏に入る


「碇」てふ名を持つ神社実梅落つ


母の日に母思ひをり思われをり 


短夜や推理小説読み終へぬ 


命ごと投げ出すやうに髪洗ふ


ほうたるや庵主が守る遊女の碑


父の日や父ゆずりらし指を持つ


筆里の動物塚やさみだるる


煩わしき事忘れたし単帯


花栗や手帳に残る男文字


梅雨寒や男の愚痴を聞いてをり


運の良さ悪さは言はず立葵


身だしなみ程の香水つけて逢ふ


爆心の旧日銀や半夏生


猫好きの家らし丸き猫ふうりん
 

初日いま神ゐますごと広ごりぬ

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